損益分岐点ってなに?
損益分岐点の計算方法は?
どうやったら損益分岐点は下がるの?
こういった疑問にお答えします!
もくじ
本記事の内容
・飲食店の損益分岐点とは?
・損益分岐点が大事な理由
・固定費、変動費とは?
・損益分岐点と損益分岐点比率の計算方法
・損益分岐点を下げる方法
プロフィール
筆者の飲食経験
・アルバイトで4年勤務
・社員として7年勤務(ほとんど店長)
・オープンから2年赤字だった店舗を赴任して2ヵ月で黒字化
・月売上1,200万円と800万円の2店舗を店長兼任
・現在の職場では史上最速3ヵ月で店長に昇進
・「アパレルメーカー→飲食→IT→飲食」と転職を3回経験
損益分岐点。。
なんだかカタい言葉でとっつきにくいよ。
漢字が5連続してる時点でイヤなんですけど。
たしかにとっつきにくよいな。
ただ損益分岐点を正しく理解していないと、今は黒字でもいずれ赤字が出たときに何の対策を取ればいいかわからなくなるで!
なんとなーくはわかるけど、計算方法や損益分岐点を下げる方法は知らない人が多いと思います。
損益分岐点アレルギーを持っている人も中にはいるんではないでしょうか。
しかし飲食店を経営する上で避けては通れない道です。
一緒に学んでいきましょう!
いろんな数字や用語が出てきますが、詳しく解説しています。
今回も飲食店初心者向けにできるだけわかりやすくまとめました。
それではスタート!
飲食店の損益分岐点とは?
損益分岐点とは、利益がプラスでもマイナスでもない0の地点のことを指します。
損益分岐点を売上が上回ればその分黒字となり、下回ればその分赤字となります。
もっと言うと、売上と経費がイコールになっている状態です。
売上ー経費=利益なので、
売上が500万円、経費が500万だと、500万円−500万円で利益が0円になりますよね。
この場合、損益分岐点は500万円となります。
売上が500万円を上回れば黒字、下回れば赤字になります。
赤字になるか黒字になるかの境目の数字ということですね。
損益分岐点は低い方が利益が出やすいってことやね。
損益分岐点が大事な理由
どの程度の売上があれば黒字になるかわかるので、売上目標が立てやすくなります。
月の損益分岐点がわかると、曜日、日、時間帯ごとにどれくらいの売上を上げればいいかもわかります。
以下で解説しますが、固定費や変動費など経費のコントロールもしやすくなります。
赤字の場合はひとまず損益分岐点を目指しましょう。
損益分岐点を知れば、なんとなくで売上目標を立てるんではなく、しっかり数字に基づいた分析ができるようになります。
固定費、変動費とは?
損益分岐点の前に、固定費と変動費というものを知る必要があります。
お店の支出は固定費と変動費の2つに別れます。
固定費とは?
固定費とは、売上にかかわらず変動しない支出です。
毎月同じ費用が引かれると考えていただいてOKです。
固定費の例はこちらです。
- 家賃
- 減価償却費(以下で解説)
- 支払利息(銀行などからお金を借りたときに返す利息)
- リース料(厨房機器などを借りた時に支払うもの)
- 水道光熱費の固定契約料(水道代、電気代、ガス代などが固定で決まっているとき)
通信費や正社員の人件費が固定の場合は固定費です。
減価償却費とは?
減価償却費とは、
厨房機器や調理器具など、長期間にわたって使用する製品を購入したときに、その経費を分割して計上することです。
それを使う年数に応じて、買った時の費用を少しずつ計上していきます。
たとえば50万円する食洗機(耐用年数5年)を買った場合、
10万円を5年ずつかけて経費に計上する、ということです。
変動費とは?
変動費とは、売上によって変化する支出です。
その月々によって引かれる額が変わります。
変動費の例はこちらです。
- 人件費(正社員、パート、アルバイトの給料、賞与など)
- 原価(食材費)
- 福利厚生費(健康診断などの医療費、慶弔費、制服代など)
- 法定福利費(社会保険料、労働保険料など)
- 水道光熱費(水道代、電気代、ガス代など)
- 通信費(電話、郵便、ネットなどの使用料金)
- 旅費交通費(交通機関の代金や出張の宿泊費など)
- 広告宣伝費(商品、サービスを宣伝するのにかかる費用)
- 消耗品費
- 修繕費
詳しくはこちらの記事で解説しているので、ぜひ読んでみてください。
損益分岐点と損益分岐点比率の計算方法
損益分岐点の計算方法
損益分岐点は以下の計算式で求めることができます。
損益分岐点の計算方法
損益分岐点 = 固定費 ÷ ( 1 - 変動費 ÷売上高 )
たとえば毎月の売上高が800万円、固定費が300万円、変動費が400万円の場合、
300万円÷(1ー400万円÷800万円)
=300万円÷(1ー0.5)(400万円÷800万円を先に計算してくださいね)
=300万円÷0.5
=損益分岐点は600万円となります。
つまり売上が600万円を上回ればその分黒字となり、下回ればその分赤字となります。
今回のケースで言うと、800万円(売上)ー600万円(損益分岐点)=200万円の利益が出ていることになります。
この計算式から分かる通り、
損益分岐点を下げるには、売上を上げるか、固定費か変動費を下げるしかないです。
損益分岐点比率とは?
売上高と損益分岐点の比率のことを、損益分岐点比率といいます。
また漢字が増えてイヤになりますが、大事な指標です。
損益分岐点比率とは、損益分岐点と比べて売上高がどれくらい上回っているかを表すものです。
なんかピンとこないと思いますが、先に計算式を書きます。
損益分岐点比率の計算方法
損益分岐点比率 (%)= (損益分岐点 ÷ 売上高 )× 100
先ほどの例で行くと、
(600万円【損益分岐点】÷800万円【売上高】)×100=75%が損益分岐点比率となります。
損益分岐点比率は低いほど収益性が高いということになります。
一般企業で80〜90%程度、飲食店だと90%が目安なので、75%は優秀と言うことですね。
逆に、
売上高が500万円、損益分岐点が600万円の場合(現在赤字ということ)、
(600万円【損益分岐点】÷500万円【売上高】)×100=120%が損益分岐点比率となり、かなり危険な状態ということがわかります。
損益分岐点比率が90%を超える場合は、早急に経営の立て直しが必要やで!
損益分岐点を下げる方法
利益を増やすためには、できるだけ損益分岐点を下げることが必要とわかりました。
損益分岐点を下げるポイントは3つです。
- 固定費を下げる
- 変動費を下げる
- 売上を増やす
①固定費を下げる
まずは固定費の見直しから始めましょう。
先に断りを入れておくと、自分で開業している人以外はなかなか難しいことが多いです。
家賃
固定費の中で1番重くのしかかってくるのが家賃です。
しかしこちらは開業してしまうとなかなか削減が難しいです。
開業前に立地や物件の選定を慎重に行いましょう。
都心や繁華街は売上が見込める分家賃も高いです。
大家さんに家賃の値下げ交渉をするのも手です。
減価償却費
こちらも家賃と同じで、一度購入してしまうとあとから修正するのが難しいです。
機材を買う前に、本当にその機材が必要なのか、もっとコスパがいい機材はないのか吟味するようにしましょう。
支払利息
銀行や信用金庫などの金融機関や取引先からの借入金に対して支払う利息です。
借入金を少なくしたり、利息を交渉して少しでも毎月の返済を抑える努力をしましょう。
リース料
リースを利用した場合にリース会社へ支払う料金です。
使用頻度が低いものを解約、他のものに置き換えて安く済む方法がないか一度見直してみてください。
なんなら購入した方が長い目で見て安くなる場合もあります。
水道光熱費の固定契約料
基本使用量によって毎月同じ額がかかる場合は固定費です。
業者を比較してみて、少しでも安くコスパが良い方に乗り換えましょう。
電力自由化により業者の幅も広がっています。
変動費の場合は、こまめに電気を消す、水を出しっぱなしにしないなどの取り組みも大切です。
家賃も減価償却費も売上の10%以下に収めるのがいいとされています。
そして固定費全体で、売上の20%以下に収めるのが理想です。
まずは固定費を見直して、少しでも安くすむ方法を考えよう!
チリも積もれば山となるやで。
②変動費を下げる
変動費で重くのしかかってくる2大巨頭が人件費と原価です。
この2つをコントロールできれば、変動費はぐっと下がります。
人件費
人件費については以下の記事で詳しく扱っています。
あえてポイントを挙げるなら、
- 基本シフトを見直す
- 早上げ、遅入りを行う
- 休憩は多めに取る
- 正社員が固定残業代分シフトに入る
- 無駄な人件費はカットしまくる
- スタッフをスキルアップする
- 業務を効率化する
です!
原価
原価に関しても以下の記事で詳しく扱っています。
あえてポイントを挙げるなら、
- 廃棄を減らす
- オーバーポーションを減らす
- 調理工程の見直しをする
- 先入先出徹底
- 盗難防止
- 原価が低いメニューを売る
- メニューの価格を見直す
です!
まずは人件費と原価の見直しから始めましょう。
他にも削れる変動費があります。
旅費交通費
旅費交通費とは、業務において通常とは異なる勤務地へ出張するための交通費およびその業務に必要な費用です。
新幹線をよく使うなら回数券を買う、飛行機ならLCCを利用することでうことで安く移動することができます。
特にLCCはもともとの価格が安い上に、時期やタイミングによっては最大で8割引の価格で利用できるケースもあります。
出張が多い人こそ、コスパの良い移動手段を考えてみてください。
そもそもweb会議で済むことも多々あると思います。
駐車場代やホテル代も旅費交通費に含まれます。
ちなみに旅費交通費、交通費、通勤費は別々の費用です。
交通費とは、
交通費は業務上の移動で発生する費用全般ですが、中でも通常の勤務地から比較的近くの場所へ移動する場合に発生した実費を指します。具体的には電車やバスと
いった公共交通機関、高速道路や有料道路の利用料金などが対象です。
通勤費とは、
従業員が自宅と通常の勤務地の間を通勤する際に生じた費用を通勤費と呼びます。勘定科目としては交通費に大別されるものの、旅費交通費は所得税が全額非課税
となる一方で通勤費は一部非課税となるため、分けて精算される場合が多いです。
https://www.ntt.com/business/services/application/smartworkstyle/smartgo-staple/lp/article-cs87
どれも経費であることは変わりないです。
広告宣伝費
飲食店の広告宣伝費は、売上の5%が目安とされています。
- グルメサイトの掲載料
- 折込チラシ
- ネットに掲載するweb広告
- 求人サイトへの掲載費
などが当てはまります。
効果が見込めるものはいいですが、やみくもに宣伝しているなら費用対効果を見直してみましょう。
インスタやXなどのSNSだけで宣伝しているお店もあります。
投稿に工夫は必要ですが、SNSは無料でも集客できるツールです。
どんどん活用していきましょう。
消耗品費
消耗品費は、法定耐用年数1年未満または金額が10万円未満のものを指します。
- 食器
- 調理器具
- 事務用品
などが当てはまります。
いくら消耗品といえど、頻繁に買い替えていませんか?
大事に使うのはもちろんですが、4S(整理、整頓、清掃、清潔)を意識して少しでも長く使いましょう。
修繕費
修繕費とは、機材や調理器具が不具合を起こしたときに修繕する費用です。
サービスマンを呼ぶ前に、一度自分で修理する癖をつけましょう。
ちょっと調べれば自分で直せることはけっこうあります。
サービスマンは呼ぶだけで基本料金がかかります。
まず最初に説明書を読むかググってみましょう。
それでもわからなければ、同業者などに聞いてみましょう。
業者に頼むのは最後です。
変動費の目安はこちらです。
- 売上原価は売上の30%以内
- 人件費は売上の30%以内
- 水道光熱費は売上の5〜7%以内
- 広告宣伝費は売上の5%以内
- その他(消耗品、修繕費、通信費などの諸経費)は売上の5%以内
変動費全体で、売上の70%以下に収めるのが理想です。
ただ変動費を下げすぎるとお店のクオリティも下がる危険があるので、低けりゃOK!ってわけでもないで。
バランスを見ながら無駄な経費を削っていこう!
③売上を増やす
売上を増やすには、客数を増やすか客単価を増やすしかないです。
客数に関してはこちらの記事↓
客単価に関しては↓の記事で詳しく扱っています。
まとめ
漢字が多くて目が疲れましたね。。
損益分岐点という言葉のアレルギーは取れましたでしょうか?
意外とシンプルじゃなかったですか?
この記事を読んだら、さっそく自店の損益分岐点を調べてみてください。
そして固定費と変動費の洗い直しをしてみてください。
絶対どこかに無駄な支出があると思います。
皆さんのお店が黒字まみれになることを願っています。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!